前回から、我々の仕事に対する考え方、取り組み姿勢について書いております。前回は4つの価値観について詳しく書きましたが、今回は、管理システムの必要性を書いてみます。管理システムと書くと難しいので、「仕組み」と言い換えます。
前回はお客様のクレームのほとんどが「我々の仕事に対する考え方、取り組み姿勢の甘さ」のご指摘です。技術的な技能的な未熟度や、知識の習得不足に関するクレームではありませんと書きました。技術的な部分はある程度確立されている部分でもあるからだと私は感じています。技術的な部分と同じくらい人間的な部分の強化が必要です。
しかしながら、我々は以前からこのことには一生懸命取り組んでいます。しかし一向にこの手のクレームは減りません。原因は二つ考えられます。
一つは「仕組み」の未熟さです。 一人ひとりの行動をPDCAによって管理する仕組みができていないと考えられます。 組織の一員として自分の役割がいまだに不明確、自分の肩書きは知っていても、組織のリーダーとして何をどのように動いたらいいのかわからないという人もいます。
また「仕組み」が形だけになってしまい活かしていない、ということも考えられます。
では、なぜ仕組みが必要なのでしょうか、大切なのでしょうか。
簡単に答えると「社内で犯罪人をつくりたくない」からです。
我々は常に100%を求められる仕事をしています。たとえばガス工事では絶対に漏らしてはいけません。99%でも残りの1%が不完全だと、何かしら不備があるとお客様に安全・安心を提供できません。給排水工事も同じです。危険度が違うだけで安全・安心を提供できないという点では同じです。
我々は、毎日ほとんどキチンと仕事をこなしております。毎日の仕事を今までみなさんが培ってきた技術や技能や知識を使いこなしてお客様にご満足いただく仕事をしています。このことは社員全員が理解しています。
さて、そんな毎日の中で、我々の中で個人に大きくスポットが当たる場面が時々出てきます。どんな時かわかりますか。
答えは「ミスを犯した時、あるいはクレームを頂いた行動を起こした時」です。
普段は、ほとんど毎日ミスなく過ごしているのに、90%以上の仕事がうまくいっているのに、ミスを犯した時、クレームを頂いた時、そしてそれが重大だった時にその人にスポットライトが当たります。
ある意味、普段はあまり目立たないのに、ミスを起こした時にだけその人の存在が思い切りクローズアップされてしまう。まるで「あたかも犯罪を犯したかのように・・」
もちろん、ミスやクレームの種類にはいろいろあります。積極的にチャレンジして起こしたミスもあります。あるいはこちらはキチンとやっているのに誤解を招いてクレームになった場合もあります。それは信頼回復が早いです。まわりも理解してくれます。それ以外のミスやクレームはどうでしょうか。
最初はみんな「犯罪人扱い」されますよね。90%以上の仕事がうまくいっているのに、せっかく地道に頑張ったのに、自分のものの見方・考え方の甘さで引き起こしたわずか数パーセントの確率で起こったミスやクレームで自分の全てを否定されるような見方をされてしまう。
そしてその時にその人の存在がみんなにクローズアップされる。
「なんだか、変だな」と思いませんか?
我々はロボットではありません。人間です。ですから100%はありえません。我々は限りなく不完全な存在です。しかし、お客様は我々に100%を求めます。「あなたが100%ではないのはわかるけど、自分のところだけはミスをしないでね」って思うのが人間の心情です。
「我々はミスをする動物だけど、常に100%を求められる。」この一見矛盾したことをどのように解決していくのか。それが「仕組み」の力だと思います。仕組みづくりをキチンとやれば、仕組みづくりを丁寧に行えば、我々が引き起こすミスを未然に防ぐことができるかもしれません。
言い換えると、「仕組みづくり」は「社内で犯罪者をつくらない人間尊重の精神」だとも言えます。
悪者をつくらない方法のひとつが仕組みづくりなのです。
しかし、我々は目の前の仕事が忙しいからと言って、なかなか仕組みをつくらない。またオレは大丈夫だからと言って、創った仕組みを守ろうとしない、維持できない、ようなことが起きてきます。
ここはどのようにすればいいでしょうか。
私は、普段の仕事をもっと誉め合うことが解決の糸口になると思います。普段の出来ていることにもっとスポットライトを照らした方がいいと思います。
日常のほんのちょっとしたいいことを誉める。
毎日の仕事の出来栄えを誉める。
など、社内に誉め言葉やありがとうの感謝の言葉がもっと増えて、日常で自分は認められている、大切な存在だと言うことを確認し合うことが大切ではないかと思います。
さきほど、「なんだか、変だな」と思いませんか?と書きました。
90%以上の日常はうまくいっているのです。それが我々の日常を築いているのです。ほとんどの人がそれが出来ています。それなのにその部分はスポットが当たらない、誉めていない。
たまに起こったマイナスの部分だけにスポットが当たる。それではやる気もなくなるし、いい仕組みも生まれません。
日常の仕事そのものにスポットを当ててお互い誉め合うことがこれからの我が社にとってとても大切だと私は感じていますが、みなさんはいかがでしょうか。