教えをたくさんいただいている数多い私の学びの先輩のお一人に木村勝男さんがおられます。ご自身もいろんな経営体験をお持ちで、30以上の起業をされた方です。年に数回お会いしたり、昨年、今年とフィリピンのセブ島にて1週間の英会話の短期留学もご一緒させていただきました。
この木村さんから教えていただいた仕事ができる人間を表す言葉の中に「自燃型」という言葉があります。「自然型」とは自分で自分の心に火をつけるタイプ。一方、他人から火を付けてから燃える「可燃型」、他人が火をつけようとしてもなかなか火がつかない「不燃型」と3つのタイプが仕事をする人間には存在すると教えていただきました。これについて自分なりに解釈してみたいと思います。
なお、木村さんは「放牧経営」という本で自立型企業経営とは何かを示して頂いておられます。
文字通り自燃型とは、自分の心に火をつけることが出来るタイプです。このタイプは、自分の可能性に挑戦し、自分で仕事を作り出し、肯定的で、幅広い視野をつかって物事を進めていきます。自分の心に火をつけるだけではなく、他人に動機づけすることも上手です。自分の肯定的なエネルギーを使って、同僚や部下のやる気を高めることができる能力を磨いていける人です。
単にエネルギーだけ高く、自分の高いエネルギーを人に押し付けようとする人もいますが、こういうタイプは真の自燃型とは言えません。自燃型タイプは自分のエネルギーを肯定的に活用することができ、自分で自分の高いエネルギーを上手にコントロールしていきます。人を動機づけすることができるタイプはこの自燃型タイプです。肯定的なものの見方で、相手の長所の存在を探し出し、認めることで人を動機づけさせます。
一方、不燃型タイプは、他人が火をつけようとしてもなかなか火がつきません。まったく火がつかない人は仕事になりませんので、そういう人は組織にはいないと思いますが、言われたことだけをやって、やり終えた瞬間に動きが止まる人はこの不燃型タイプに属すると思います。自分の心の殻を破ろうとせずに、自分の心のなかに閉じこもっているようなタイプの人です。
このような人はどれだけ経験を積んでも、自分でその経験を活かそうとはしません。また自分の意見を積極的に出すこともしません。自分の意思決定が周りに及ぼす影響を考えると恐ろしくなり、考えるくらいなら考えずに人の言うことを聞いていたほうが楽だと思ってしまいます。だれもが持っている自信がない、勇気がない、というような劣等感が自分の行動に縛りをかけて、一歩踏み出す勇気が持てないタイプです。
「可燃型」には二通りあると考えます。ひとつは、最初は人から言われて自分の足りないところに気づくのですが、それを自発的な行動に変化させることが出来るタイプです。このタイプは一番最初だけ他人からの指摘による動機づけが必要ですが、あとは自分で行動を起こすことができるタイプです。
もう一つの可燃型は、同じように他人から言われて気づきますが、しばらくすると動きがとまります。また火をつけてあげると動き出しますが、しばらく経つと動きが鈍くなります。
この2つの可燃型の違いは、自分自身を動機づけする力の強さです。可燃型でも肯定的な思考を持っている人は、一旦他人からの指摘は受けたものの、謙虚にそれまでの自分を振り返り、自分の行動を変化させることができる力を持っています。(可燃型タイプ1)一方もうひとつの可燃型は、指摘を受けても自分に落としこむ力、自分で自分に納得させる力が弱く、表面的に自分を動かすことができても、心の奥底では自分を動機づけさせきれていませんから、次第に動きが止まるタイプです。(これから可燃型タイプ2とします)
自分で自分を動かす力が身についている人は、うまくいかないことを外部環境や他人のせいにはしません。外部環境が自分にとって良くない方向へ行っているなと気づいたら、どうすればいい方向へ導くことができるだろうかと自分で考え、意思決定し、行動に変化させます。ところが自分で自分を動かせない人は、他人や環境に依存します。
「景気が悪いから」「時期が悪いから」「今はそんな状態じゃない」「人員が不足している」「まわりの人達の能力が足りない」「それは会社で考えることだ」いろんな言い訳で自分と自分の周りの環境を正当化することに時間をかけていることに全く気が付きません。
仕事が忙しい時はまだしも、少々楽になると、自分の仕事をありとあらゆる方法で引き伸ばし、自分の忙しさを演出することに時間をかけます。
アイデアを出すことを簡単に諦め、「考える事をすぐにやめる」のもこのタイプです。自分の考える力に挑戦しません。また未来を創ることがなかなか出来ませんので、人から与えられた仕事に依存してしまいがちになっています。自分で勝手に作った自分自身の心の壁の中に自分の安住の場所を見つけようとします。心の壁の存在を指摘しようとすると、中には激しい抵抗の感情を使って自分自身を守ろうとする人もいます。
また、ある人は、自分が勝手に創ったやれない理由の正当性で、他の可燃型タイプ2を巻き込み、グループを創って自分たちを守ろうとする行動に出ます。肯定的なことを巻き込むのは苦手ですが、否定的なパワーで人を巻き込むのは比較的得意な人です。巻き込まれやすい可燃型タイプ2の人たちの特徴は、自分の考えをあまり持っていませんので、否定的であれエネルギーの高い方へ巻き込まれやすい人たちです。
人は自分を不燃型とは思っていません。(いやほんとに。そこまで自分を自虐的に見ている人はあまりいません)
自燃型といえる人も本当は少ないのではないでしょうか。私も決して自燃型と言い切れない部分も持っています。気持ちが沈むことも度々です。そして、私の社員や周りの人も「自分はどちらかというと可燃型だ」という人が多いのではないでしょうか。しかしこの可燃型もタイプ1とタイプ2ではものすごく違うことがわかります。自燃型リーダーに可燃型タイプ1のフォロアーがいる組織だと成長発展の速度は高くなるでしょう。一方、フォロアーが可燃型タイプ2が多いと成長発展の進み具合はなかなか早くなりません。一歩前に進んで二歩も三歩も後退することも度々起こります。
自分で自分に気づく力を磨いていくと、自分の足りないところに気づき、そこに謙虚さ、素直さが増すと行動を変えてみようという一歩踏み出すチャレンジ精神が湧いてきます。
まず自分で決める。このことが自燃型タイプの最も大事なところです。自分で意思決定する勇気がないと自らの行動に変化させることはできません。まず決める。そしてやってみる。この行動を繰り返すことが、与えられた環境に依存することのない自立した自分を創ることができるのだと思います。
キューハイテックは「自燃型社員」であふれる会社を目指します。