業界の常識を超えるイノベーションツアーの最後の会社は、大阪市にある物流業のエムカンパニーさん。中小企業ながら畜産に特化した3PL(サードパーティロジスティックス)に取り組み、今では特定荷主に依存しない畜産物流のエキスパートに大変身した会社です。
単なるものを運ぶだけの運送業から、物流業への転換。しかも畜産に絞った展開は、商品知識やそれぞれに合った保管方法や、運搬方法の確立などの多くのノウハウや知識、経験と技術が必要とされるものでした。
それを克服して独自の3PLを確立され、中小食肉メーカーだけでなく、大手メーカーの物流拠点として近畿一円に物流ネットを構築されておられました。
社長の松木さんとはフィリピンセブ島で一緒に1週間、現地英会話学校を体験した仲間で、その時よりも、彼はカラダもココロも、経営者としてもすっかり大きくなっていました。自社の強みをコアコンピタンスと名付けて、パワーポイントやビデオで教えていただきました。
うまくいっている会社には共通点があります。例えば、新しいことに挑戦しようとするときに、一番の阻害要因になるのが、外部環境やライバル会社ではなく、自社の社員さん。とくにベテラン社員さんです。なぜなら固定観念や既成概念がしっかり構築されていて、それを変えるのがとても大変です。人間が動物ならではの「自己防衛本能」を発揮させるからだと思っています。
「いままでオレはこうやってきた」
「なんでオレがそこまでやらないといけないのか」
彼らの抵抗に覚悟を決めて向き合えるかがポイントですが、これが口でいうほど簡単なものではありません。否定的な感情を周りに巻き散らかす。少しでもやらない方へ向き合う仲間を探そうとするし、創り出そうとする。新しいことへチャレンジしようとする若い人たちを見えないところで蹴落とそうとする。人間が動物だからこそ持っている、この恐ろしいまでのマイナス感情(自己防衛本能)に、覚悟を決めて向き合えるかどうかが成功の最も大きなポイントだと私は感じています。
うまくいっている会社の共通点の2番目は、「うまくいく最大の方法は、うまくいくまでやり続けること」です。うまくいっているところは、結果的にうまくいくまでやり続けています。禅問答のような感じですが、当たり前のことのようにも感じます。途中でやめたくなることはたくさんあります。また、これを続けて本当にうまくいくのだろうかと経営者が不安になります。しかし結果的にやり続けたところがうまくいくのです。もちろんやり方を変えるとか、微調整するという工夫は必要でしょう。本質的なことは、「あきらめない」ということではないでしょうか。
うまくいっているところはあきらめていないのです。