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自分化するということ

仕事においてうまく行く人といかない人が必ずいる。うまく行く場合、まぐれとかたまたまとかいう場合もあり、努力しなければうまくいかない訳でもない。プロ野球監督で有名な野村克也氏は、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言ったが、至極名言だなと思う。勝つ時はたまたまそうなった、と言う場合もあるが、負けには必ず負ける理由が存在する。

うまくいかない人に見られる内面の感情は「やらされ感情」だと思う。これを持っている間はまずうまくいかない。100%うまくいかないと言い切ってもいいくらい。
「なんで私がこれをやらないといけないの」「オレも他にやらないといけないことがあるんだけどさぁ」「他にやる人がいないからしょうがない」これらの感情を持っていながら、何かを成し遂げようとしても、まずうまくいかない。かく言う自分自身もこれを随分とたくさんやってきた。そういう感情では、なかなかうまくいかなかった。仮にゴールを迎えたとしても、達成感を十分に感じることができなかった。

本日、MBA取得でお世話になったQ大のビジネススクール同窓会の総会に参加した。在校生の時から数えると7回目の総会への参加機会になったが、私は主催者側の立場でほとんどの総会に参加している。どちらかと言うと、同窓会のような組織運営はやらされ感情が先行し、会運営に消極的な場合が多い。それぞれの仕事や家庭の事情もあるし、余計な責任を負わせられるのは嫌だと感情も働く。

小学校のPTAの役員になるのに消極的なお母さんたちの心情と似ているかもしれない。それぞれ本来やらねばならないものを持っているので、仕方ないし、同情もできる。これまでの会運営や総会の雰囲気も、そんな雰囲気をどこか漂わせていたのは、常に運営側にいた私の未熟なやらされ感情のせいかもしれない。

しかし、今回の寺松一寿会長は違っていた。彼にはやらされ感情は一切感じられなかった。会長を引き受ける前までは、やるかやらないかで迷っていただろう。しかし一旦やると引き受けてからの彼の姿勢には、出来なくても人のせいにすればよいなどという他責思考は一切なく、会長職を自分のことと受け止めていた。

だから、周りの人を巻き込む時には、まるで自分の仕事の一部をお願いするように役割をお願いし、出来た時の感謝の言葉を投げかけることを忘れない。まさに会長職を「自分化」していた。そういうリーダーの元での組織は当然活性化し、強くなる。今回の功績の一つに優れたビジネスモデルを作った、あるいはチャレンジ中の同窓生を表彰するQANアワードの創設。それに加えて綿密な総会準備と運営。周りの理事メンバーの人たちの役割も明確で澱みがないので、効果的に機能している。

総会終了後の懇親会での参加者の評判も上々であった。「こう言う総会なら、また来年も参加してみたいね」と言う声も聞くことができた。

今回の総会で、リーダーシップのあり方を学ぶことができた。組織においてリーダーの立場もフォロアーの立場でもやらされ感情は組織運営にブレーキをかける。リーダーがそれだとそもそも組織は成立しない。そこには、リーダーとしての「決断」と「勇気」がいかに大切かが理解できる。

やらされ感情に侵され続けると、「できるだけ責任を負いたくない」感情がしっかり身についてしまって、チャレンジしなくなる。それはそれまで取得した知識の量に比例しない。知識があろうとなかろうと、チャレンジするには、不確実な未来に向かって行く勇気と決断が必要で、それには何事にも「自分がやる」という気持ちがないとうまくいかないことが改めて証明されたような感じがした。

彼は優れた経営者だ。派手さはないが、スタートアップや話題性でもてはやされているだけの人間とは違う、地道で、粘り強く、人の心情に寄り添える人物だと思う。MBAでは決して学べない現場体験の強さを彼は持っているに違いない。

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